2005/vol.04
不敗神話──。万博で行われた魔のロスタイムの末に敗戦した対ガンバ大阪戦に至るまで、足掛け3年に渡りジュニーニョがゴールした試合でフロンターレは負けたことがなかったのだ。ジュニーニョは、この敗戦を静かに受けとめていた。 「もちろん気づいていたけど、いつかは自分が点を取っても負ける日はくる。そういう心の準備はできていた」 それにしても、ものすごい記録である。ガンバ戦以前にジュニーニョが出場した試合数は84。そのうち71のゴールを決めた48試合で、フロンターレは38勝10分0敗という成績を残していた。 今年、ジュニーニョは来日3年目を迎え、遂にJ1の舞台に姿を現した。 |
開幕戦をアウェイの柏で迎えたフロンターレ。試合に出場していない柏レイソルの選手たちが、観客席から試合を見つめ、こう漏らしていた。 「ジュニーニョ、全然通用するな。すげぇな、あいつ」 確かに、ジュニーニョはJ1においても、自分の特徴を出せるだけの力があることを、わずか数試合で証明してしまった。 「J1はもちろんレベルが上がっているけど、問題ない。マークが厳しくなっているけど、それでもちゃんと点が取れてる」とジュニーニョは語る。 「ますます巧くなってるよね」というのは、ジュニーニョにパスを供給する中村憲剛だ。 「俺とジュニーニョの関係は、距離もパススピードも変わらないけど、ジュニの場合は、いくら速く出してもピタっと止まるから。けっこう思いっきり出してるんですけどね。それで、くるっと一瞬で回って前を向くと、『おお!』って思う。そこまではいままでと変わらないんだけど、シュートが巧くなってる。あとジュニはね、絶好調のときは球離れが早くて人をよく使う。低いところで玉離れが早いときは調子いいんだなって思う」 |
ガンバ戦での敗戦は、チームにとって課題が明確になり、ある意味「ふっきれた」利点もあった。前線の3人も守備を意識し、しっかり守り、そこから攻撃を仕掛けていく戦いへとシフトチェンジした。そして、4月9日第4節対東京ヴェルディ1969戦で初勝利を掴んだ。 「ヴェルディ戦は内容はそんなによくなかったけど、かといって他の試合は内容がよくても勝てていなかった。たとえ、内容が悪くても1対0で勝利できた。結果が大事なんだ」 |
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ジュニーニョには揺ぎ無い目標がある。 「点を取ったりアシストしたりパスをしたり、チームが勝つためにグラウンドで精一杯やること。シーズンが終わるまでにフロンターレがトップにつけることができるように。いつも応援してくれるサポーターのためにフロンターレが強いチームでいることが大事なんだ」 そして、サッカーをやることは遠い母国にいる家族へ思いを届けることでもある。 「僕にはサッカーがあったから、海外でプレーをすることもできたし、両親に家を建ててあげたり、家族に楽な生活を送らせてあげることもできるようになった。結果を出すこと。それは家族のためでもあるんだ」 2003年、パルメイラスより移籍。来日以来、パサーからゴールゲッターに変貌を遂げ、チームの要となる存在に。1977年9月15日生まれ。ブラジル、バイーア州出身。174cm、60kg。 |